Berufはドイツ語です。ドイツで「働く」を表す言葉は「Arbeit」ですが、ドイツの社会では働くことには2種類あり、経験的にマスターしていく仕事「Job」と、一定期間の教育を受けて就く仕事「Beruf」があります。どちらも仕事としては大切ですが、「Beruf」の方が仕事の難易度とレベルは高く、従ってまた社会的ステータスも高いものとなっており、私たちは障害者雇用でこちらを目指そうと考え、この名前をつけました。辞書では「天職」などと訳されますが、私たちはJobとの違いを明確にするため「専門職」と呼んでいます。
「障害者に専門技術や高い業務能力を求めることは可能か」の問いに、私たちはこれまでの実績をもって、自信を持ってYesと答えます。障害に対する適切な配慮を得ることで、非障害者と同等に働ける障害者は数多く居ます。彼らに対しては、職業教育の機会をさらに増やし、また企業に対しては、彼らの能力発揮のため合理的配慮の具現化を手伝うことが、社会課題を解く就労移行支援事業所の役割であると考えています。
このページを読むことで、ベルーフについて一通り知って頂くことが出来ます。
事業所見学(来訪・オンライン共に可)、個別相談等承っております。お気軽にご相談頂ければ幸いです。
専門職就労とは
日本では、障害者就労と言えば事務業務や補助業務が大半ですが、ヨーロッパでは決してそうではありません。ドイツの職業教育による専門業種は、21分野278種(※2012年調査段階の数)。それぞれ教育期間が6ヶ月、9ヶ月、2年、3年半とあり、試験に合格することで、専門職として業務に就くことが出来ます。試験は商工会議所が行い、障害者も非障害者も同じ基準で受験し資格を得ます。したがって企業は、障害者を雇用する際、障害に対する配慮は必要だが、業務能力は担保された人を雇うことが出来るのです。ベルーフでは、このドイツの障害者就労をお手本に、企業で働くための業務能力を身につけるための教育を行っています。
ベルーフ研修の特徴
ベルーフでは、やり方を指導するのではなく原則とガイドラインを示し、自ら目標設定して取り組むことを尊重します。基礎研修で学んだ「ビジネスの考え方」と「IT技術」を使い、自分の判断で試行錯誤することで、真の「仕事が出来る力」を培います。ベルーフでの実務演習は、就労後に起きる様々な問題を、自分と周りの協力で乗り越える就労継続力を養っています。
ベルーフの研修とは
ベルーフに通う利用者は、IT専門職を目指して、毎日研修を受けています。研修は、IT系研修●種、ビジネス系研修●種、セルフコントロール系研修●種から、教育段階と就労準備性に応じて1週間のスケジュールを策定します。3ヶ月ごとの見直しを入れながら、目指す仕事に就くための専門技術とビジネス判断基準の習得に取り組みます。
講師紹介
研修を運営する講師は、その分野で活躍してきたプロのインストラクターで、オリジナル教材を使ってライブで教えます。一方的に講義を聴くだけでなく、授業中の質疑応答や演習問題に取り組む時間もあるので、分からないところをそのままにして先へ進むことも少なく、着実な理解を積み重ねて行ける環境です。
研修生について
ベルーフには、東京都や近県の他、リモート受講を活用し日本全国から利用者が集まっています。
コロナ以前は、通所可能な距離にある就労移行支援事業所に通所して就労のための訓練に取り組むのが一般的でしたが、コロナ後、厚生労働省より「障害者の多様な働き方」として、在宅での訓練および就労が推進され始めたことから、事業所のある場所を問わず、支給決定する自治体が増えています。
また、ベルーフはSE/PGやデータサイエンティストといったIT系専門職への就労を掲げていることから、それまで軽作業・事務職等の仕事をしてきた方が、キャリアチェンジを図り、長く安定した就労を目指すため、通所を決める方が多くなっています。
事業所紹介
茗荷谷駅近くの高台で9階という高さ、眺望と日当たりは抜群で、天気の良い日はスカイツリーや富士山が見えます。
研修室はオープンスペースで、最近のオフィスでよくあるフリーアドレス方式を採り入れています。
就職活動
基礎教育研修の受講が済み、就労準備性が整ったら就労活動に入ります。ベルーフの就労活動は、研修受講を通して学んだ企業の原則的な評価汲準を基に、入社した会社で自分がどう貢献できるかを考え抜き、そのために会社からどんな配慮を受ければ良いのかを自覚し言語化することで、就労先企業との妥協のないマッチングを図ります。また、選考時には職場実習を推奨し、企業と本人のギャップを軽減する工夫もしています。
就労実績(データ更新日:2023年11月1日)
ベルーフは、精神障害者の雇用推進に取り組んでいるヨーロッパのNGO・CEFEC(Confederation of European social Firm, Employment initiatives and social Co-operatives, for people with mental health problem/精神障害者の就労を協力し推進するヨーロッパ連合)のサポーティングメンバーとして活動しています。目指しているのは、日本の補助業務中心の障害者雇用を転換し、専門職としての雇用を推進する新しい雇用システムをつくることですが、そのためには多くの賛同者と共に、日々起こる様々な問題・課題を、連帯で解いて行くしくみが必要です。このしくみに相当するのが「ネットワーク」です。
障害者雇用には、当事者、企業、医療・福祉に携わる支援者、ご家族、制度をつくる国家、手続きを担う自治体、といった色々な立場の人が関係してきます。障害者に能力を発揮し安定して働き続けてほしいという目標は全員にとって変わりませんが、それぞれ立場が異なるため、常に問題・課題が出て来ます。それぞれの立場や状況に配慮しながら統合をはかり、解決を模索していく過程では、多くの人の知恵と経験を結集して当たることになります。これがネットワークの活動であり、ベルーフはそのリーダーシップをとったり、情報の共有を推進したりしています。
今後の展望(専門職就労増やしたい)
企業に課せられる障害者の法定雇用率は年々上がっており、障害者を雇用する職種・職域を広げていきたいと考える企業は増えていますが、その具体策が見出せず困っているというのが現状です。
2015年からIT専門職就労を始めているベルーフには、色々な企業が相談に見えます。
今後は、学習能力の高い障害者に質の高い教育を提供し、企業の合理的配慮の具現化を手伝うことの出来る就労移行支援事業所を、ベルーフ以外にももっと増やし、障害者の専門職就労を拡大して行くことが求められています。
当事者の立場から見ても、障害の有無に拘らず自由に職業を選択出来る社会の実現は望ましいと思います。障害のために学びの機会に恵まれず、能力発揮のチャンスが得られないことは、社会にとっての損失でもあります。専門職就労の取り組みは、障害者と非障害者の就労による統合を実現する、一つの解です。ベルーフと一緒に取り組んでみませんか。