
1.就労定着支援事業所とは(一般論)
厚生労働省のホームページによりますと*1、就労定着支援事業所とは新たに雇用された障害者の就労の継続を図るための福祉サービスです。勤務先企業、障害福祉サービス事業者、医療機関等の利用者を支援する機関と連絡調整を行い、働くことで起きるプライベート、業務上の問題に関する相談、指導及び助言等の必要な支援を行うものです。
*1厚生労働省ホームページ障害福祉サービスについて(閲覧日2026年2月6日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
2.ベルーフの行う就労定着支援の考え方
ベルーフから最初の就労者(卒業生)を送り出したのは2015年秋で、当時就労定着支援事業は存在しませんでした。実際に卒業生が就労を継続することを支援していくうちに、卒業生にも就労先企業にも、共に相談窓口の存在が重要であることが分かってきました。その後、就労定着支援事業所ベルーフIntegraを開設したのは2018年夏。利用者支援のみに力点が置かれた内容では就労の安定的な継続は難しいとの判断から、利用者本人と企業双方の支援を目的としたサービス内容を、独自に提供しています。
3.ベルーフの具体的な支援内容
ベルーフIntegraのサービスは、予め作成された「個別支援計画」に基づいて、利用者本人に提供されます。また利用者が勤務する企業への相談支援も行います。就労後半年までは就労移行支援事業所ベルーフとして定着支援を行い、7か月目からはベルーフInetegraとしてその後三年間の支援を行います。従いまして、トータルの支援期間は最長3年6か月までとなります。
利用者本人への支援内容:
主に職場訪問による就労継続支援面談を実施します。就労後3か月は毎月、その後は順調であれば3~6か月に一度と徐々に頻度を落として面談を実施します。面談の参加者は、本人、直属上司、人事担当、可能であれば役員の参席を依頼しています。従いまして、トータルの支援期間は最長3年6か月までとなります。面談で確認する内容は、健康状態を含む勤怠と、取り組んだ業務とその成果の2つです。上手く行っていない時は、参加者と共に解決策を考案します。その他、年2回の卒業生参加イベント、2ヶ月に一度の土曜開放等、気軽に近況報告に来られるような機会を設けています。
勤務先企業への支援内容:
職場訪問による就労継続支援面談を通して、各種のご相談に対応します。
10年以上障害者雇用を支援してきた経験から、利用者への特性に合わせた指導のやり方や業務指示について、共に考え、助言や提案を行います。障害者雇用の経験が無くても、安心して継続的な雇用ができるように、長期的なサポートを行います。
4.卒業生のケース(過去の卒業生の支援のケース)
ケース①
Sさん
<経過>
2021年12月、SEとして正社員入社。
入社後3ヶ月ほどの社内OJTを経て、お客様案件に配属(フルリモート勤務)。半年頃までは順調にスキルアップし意欲的に取り組んでいたが、徐々に体調不良で欠勤が増加。連絡がつかない等の事態はなかったものの、直属上司と人事担当が状況を懸念しベルーフに相談。当人と面談し、過負荷状態と判断、クリニック受診を経て半年間の休職となった。
復職は、本人意思と主治医判断を軸に、時期・プロセスについて慎重に検討。休職に至った原因を分析し再発防止策を講じると共に、時短勤務からの復帰を果たした。
<支援内容とポイント>
①入社後3ヶ月は毎月の職場訪問を伴う支援面談、配属後は3ヶ月に一度のオンラインでの支援面談を実施。面談参加者は本人+直属上司+人事担当+ベルーフIntegra支援員。
定期面談のタイミングでは勤怠の懸念はなかったが、その直後に欠勤が増加し、直属上司・人事が動き情報共有されたことで、早めの対処が可能となった。
→このように、定期面談では問題が出なくても支援ポイントについて関係者で共有出来ていることで、早めの療養に繋げることができた。
②復職は休職よりも判断が難しく、また再発防止策が鍵となる。障害者の雇用については企業も様々な制度を準備しているが、休職・復職についての対応はまだバラつきがある。今回のケースでも、正社員の時短からの復職は例がなく、会社に対し精神障害者の病状の変化や注意すべき事項等について詳細な説明を行い、人事には社内の調整を依頼した。
→このように、既存の枠組みでは対応できないケースも出てくるため、本人とのコミュニケーションを中心に、本人を取り巻く関係者とも連携した対応を支援するのが、ベルーフIntegraの就労継続支援である。
ケース②
Mさん
<経過>
2023年5月、社内SEアルバイトとして入社。
週5日、10:00-16:00毎日出社。300人規模の社内システムの開発・改修・テスト・導入支援運用管理を行っている計7人のチームに所属。
入社後1年半の時間をかけて、さまざまな業務を担当し力を発揮できるものを見極めて行った。始めの頃は、空き時間が生じる際は資格取得の学習を進めるなどし、基本情報処理技術者試験に合格。今後3年かけて応用情報処理技術者試験の合格を目指しているが、現在は担当業務で忙しく、勤務時間中に学習時間は取れなくなった。目下の課題は、業務パフォーマンスUPと体調の安定。欠勤こそ出ていないものの腹痛や昼間の眠気が継続しており、医療への相談と服薬調整をしながら支援している。
<支援内容とポイント>
①入社後1年を過ぎてからは、職場訪問による継続支援面談は3ヶ月に一度。本人支援と共に企業側の対応に関する相談支援のため、直属上司・指導係との面談→本人を交えての面談の順で実施している。企業側からは本人の能力育成(教育)に関する相談が多く、どのようなアプローチ・声掛けが必要かについて、ベルーフで行ってきた事例を紹介したり、共に考えたりすることで、業務パフォーマンスUPを目指している。
→このように、障害者を雇用した企業側で抱える問題・課題の相談窓口として機能することで、企業側も安心して雇用を続けることが出来る。実際に上司となる者にとって障害者の指導は、ほとんどの場合初めての体験であり、人事がサポートするとしても現場の状況の理解度はまちまちで難度が高いものである。障害者支援・職業教育のプロがバックアップすることで、企業内にノウハウを構築していくことを目指すものである。
②Mさんの場合、腹痛・眠気はベルーフ通所時代からの症状であり、主治医にも相談し薬の処方もされていることから業務遂行に支障が出なければ良いとの判断で、面談時に症状を確認し、必要に応じて生活リズムのチェックを行っている。時期によって夜更かし等の習慣が見られたため、その際は就寝時刻を早める等のアドバイスを行ったが、それ以外は様子見である。
→このように、医療との連携は就労の継続に欠かせない要素である。Mさんの場合通院時のアドバイスに留まっているが、本人希望があれば通院同行、当事業所精神科医の臨時カウンセリング等を随時行っており、医療面からのサポートも活用しながら、長期就労継続を支援している。
Q&A
① ベルーフIntegraを利用するにはどんな手続きが必要ですか?
A 障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスとなりますので、お住いの市区町村への利用申請が必要となります。就労移行支援事業所ベルーフから一般企業への就労が決まった場合、ベルーフのスタッフより詳しくお伝えします。
② 就労移行支援事業所ベルーフを経て就労していなくても利用できますか?
A ベルーフIntegraを利用できるのは、原則的には就労移行支援事業所ベルーフから一般企業に就労した方のみになりますが、サービス内容を限定して提供することは可能な場合もございます。まずはご相談ください。
③ 利用者本人に代わって、企業へ要望を伝えてもらうことはできますか?
A ベルーフIntegraは利用者自身と雇用先企業を主体とした問題解決を支援するものです。要望の伝え方、要望を伝える際の同席などの相談・助言は可能ですが、仲介や伝達代行は致しかねますのでご了承ください。
④ 勤務先の企業にもサービス利用費を負担してもらう必要がありますか?
A 国の障害福祉サービスとなるため、サービス利用費の9割は国家から支給され、利用者に1割負担が課せられます。(課税状況により負担上限あり)企業には費用負担はありません。
⑤ 利用期間を終えた後でも相談・面談を行ってもらうことはできますか?
A ベルーフIntegraとしてのサービス提供は支給決定期間で終了となりますが、その後も相談窓口としては利用可能ですので、まずはご相談ください。
