IT系ニュース(2024年10月)

この記事では「データサイエンス系」や「プログラミング系」などの分野について、最近のニュースや気になったことなどをご紹介します。

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データサイエンス系の話題

生成系AIと、AIが与える社会影響に関して、2つの話題をご紹介します。

OpenAI 新モデル「o1」

データサイエンス系の話題となると、最近はほとんど人工知能の話になってしまいます。今回も人工知能分野の話題からです。

2024年9月12日に、OpenAIが新しい言語モデル「o1」を発表しました。実際の名称は「o1-preview」ですので、まだ正式なリリースではないようですが、それでも今までのモデルに比べて能力は高そうです。

特に「思考力」「推論能力」は従来モデルを大きく超える性能があり、実際の様子を見てみると高い能力が伺えます。

例えば、数学オリンピック予選の問題では正答率が8割とのことです。

ChatGPTに「o1」登場 じっくり考えて賢さアップ、数学オリンピック予選で8割正答 (ITmedia)

また「o1」の思考力や推論能力を比較するために、同じ問題を「4o」モデルにも解かせた結果をまとめている方もいます。

o1-previewの性能はどのくらい向上したのか?ーGPT-4oとの性能比較 (note記事)

比較は、数学の東大入試問題、シュレーディンガー方程式の導出、フェルマー最終定理の証明、日本史、日本文学など多岐にわたっています。

全ての分野でo1モデルが上回っているわけではありませんが、数学やパズルなどの思考・推論能力はかなりのレベルに達しているようです。ただ、日本史や日本文学などでは4oモデルを上回っているというわけではありませんので、o1モデルは数学やパズル分野の能力が高いということなのでしょうかね。(個人的には未だ証明がされていないリーマン予想をo1に聞いてみるとどうなるのか、試してみたいなと思っています。OpenAIには課金していないのでまだ先になりそうですが…)


このように年々、というより毎月のように能力が上がる人工知能ですが、やはり気になるのはハルシネーション(人工知能が事実と異なる情報や、実際には存在しない情報を生成する現象)です。

このハルシネーションについては、技術力で解決できるような話ではなく原理的に解決できないのでは、という論文が出ています。

生成AIのハルシネーションは原理的に排除不能 (Yahoo!ニュース)

説明にはゲーデルの不完全性定理が出てきていますので理解は難しいですが、数学的にハルシネーションは排除できないことが言える、という主張です。


将来はどうなるのかわかりませんが、現在の人工知能がハルシネーション問題を抱え原理的に排除できないとなると、今後しばらくは(10年単位?)人工知能は専門知識があっての効率化ツールになるのではないかというのが個人的な印象です。

私も自分の専門分野で人工知能をよく使いますが、間違っている情報も散見されます。ただそれでも人工知能を使う理由は、調べ物や考え事などに人工知能を使うと、圧倒的に作業効率が上がるためです。

たとえ人工知能の回答に間違った情報が混じっていたとしても、そこは知識がありますので、情報をフィルタすれば十分成果物として使えます。

ということで、人工知能の能力が今後上がっていったとしても、自分の専門分野の知識はしっかり身につけておいた方がいい、というのが私の結論です。

IT系の就労に興味がある方は、ぜひベルーフで専門知識を学ぶことを検討してみてください。

士業の今後

先に述べたように、人工知能には限界があるかもしれないので、専門知識が必要な分野では引き続き知識や経験の習得が必要なお話をしました。

一方で、このような意見もあります。

“先生”と呼ばれる職業は稼げなくなる (プレジデントオンライン)

今後、人工知能の台頭でプロフェッショナル、たとえば弁護士や会計士、医師、コンサルタント、エンジニアなどは厳しくなるのではないか、という見解です。

個人的には全体的にはこのような方向に進むものの、業種によってその度合いは異なるのではないかとも考えています。

例えば、弁護士は法律に基づいて事案に対する違法性などを検討しますので、その部分は人工知能が得意な分野のような気もします。ただ、裁判所判例を見ていると、人間的な配慮も入れた判断が入る場合もありますし、弁護士業は人が対面で行うことにも意味があると思います。

医師の病理判断についても、レントゲン画像診断では人工知能の方が人間より良いスコアを出すこともあるようです。でも最後は患者の心に寄り添う必要もありますので、人工知能だけではこなせない分野です。

いずれの業種でも、結局は人工知能がある世界で、自分の価値をどのように出していくかが重要になってきそうですね。そのためには人工知能にはできないような様々な実体験、経験をすることも意識した方がいいのかな、と思いました。

プログラミング系の話題

プログラミング系の話題を2つご紹介します。

モブプログラミング

「モブプログラミング」という言葉はご存知でしょうか?

一言でいうと3人以上でプログラムを作成する手法です。具体的には次のように進めます。

  • 3人以上のチームでプログラミングを行います
  • 使用するPCは1台で、画面を共有するために大型モニタを使用することがあります
  • 1人が「ドライバー」としてPCを操作してコードを書きます
  • 他のメンバは「ナビゲーター」としてドライバーにアイデア提案やアドバイスをして問題解決をしていきます
  • 役割は定期的に交代して、全員が各役割を担当します

「3人以上」となっているのは、2人で行う場合は「ペアプログラミング」と呼ばれているためです。今回はモブプログラミングを話題にしているため、ペアプログラミングのことは傍に置いておきます。

プログラミングを学習されている方の多くは独学にしても研修を受けるにしても、プログラムは一人で作成することがほとんどですよね。そのような経験が長いと、モブプログラミングで上手くコーディングできるのかな?、効率が落ちるのでは?、など疑問が出てくると思います。

私はベルーフに勤務する前はメーカーでソフトウェア開発を担当していましたが、退職する1年ぐらい前から社内でもモブブログラミングをトライアルで採用するチームが出てきていました。

初めてモブプログラミングの開発現場を見た時は、60インチぐらいのモニターにエディタを表示してドライバーの人がカタカタとコードを入力していてびっくりした記憶があります。また他の人はいろいろ意見を言っているので「これで上手く製品が作れるのかな」とも思っていました。

しばらく見学しているうちに、実に多くの意見、知見が共有されて、出来上がるコードの品質も高く、また知識の共有も行われていて、一人プログラミングにはないいろいろなメリットがあることがわかりました。

ただ、生産性についてはどんなんだろうと疑問がありましたが、最近、モブプログラミングの方が生産的になれるという記事もありました。

ちょっと長いですがご興味があれば読んでみてください。

モブプログラミングは、なぜ5人が1台のPCで仕事をしているのに生産的になれるのか(前編)

モブプログラミングは、なぜ5人が1台のPCで仕事をしているのに生産的になれるのか(中編)

モブプログラミングは、なぜ5人が1台のPCで仕事をしているのに生産的になれるのか(後編)

最近は会社によっていろいろな開発手法が採用されています。

プログラマーとして就労を検討している場合、プログラミング技術以外にもこのような開発手法などの知識も身につけるように心がけるといいですね。

プログラム写経

プログラミングの世界でも写経という言葉があります。正式な用語ではありませんが、プログラミング学習の話題があるとたまに耳にします。

プログラム写経とは、本来の写経と同じように、お手本をそのまま写す(キーボードで入力する)ことなのですが、意味があるのかないのかよくわかりませんよね。

私がコンピュータに興味を持った頃は、プログラムは雑誌に載っているものを自分で入力していました。意図せず写経をやっていたわけです。

当時はプログラミングに関する情報が少なかったので、写経しながら動作を理解して、こういう時はこんなプログラムにするんだ、と理解を深めていた記憶があります。

プログラム写経がどの程度効果的かはわかりませんが、最近この話題に関する記事がありましたのでご興味があればお読みください。

プログラミング学習においての写経の必要性について (Zenn)

この記事で、写経は初期のコスパがいい、と言及されています。

私の写経は意識してやったわけではありませんが、当時のことを思い起こすと、初期の学習効果はかなりあったと思います。

何かを習得するとき、職人の世界では「見て盗め」と言われることもありますが、プログラミング初期の段階ではこの「見て盗む」というのはかなり効率が良いのではないかとも思っています。

写経は、特にプログラミング初期に学習するような機能が少ない短いプログラムに有効だと思います。逆にプログラム規模が大きくなると、コーディングの前に仕様策定や設定などさまざまな工程があります。規模の大きいプログラムを写経しても、コードの裏にある前工程は見えないので、ただコードを写すだけになってしまい、効率的な学習にはならないように思います。

とは言っても、写経も立派な勉強法ですので、一度トライしてみてはいかがでしょうか。

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