なぜ就労移行支援事業所を設立したのか?

2009年ベルリンのFAF(仕事と事業プロジェクトのコンサルタント会社)へ障害者の就労について視察と調査に行きました。ドイツのソーシャルファームの推進の元締めと紹介されていました。10日余りで7ヶ所を見て回って障害者への就労観を根本的に変える事に成りました。補助業務から専門職へです。障害者就労は殆んど事務の補助業務というのが日本の現状でした。待遇が低く雇用が安定せず、離職が頻繁で問題なのですが当然の様に行われていました。ドイツでは職業に就くことは人間の義務と責任である、という意識は徹底しております。従って職業の基準も明確に規定されています。ドイツ商工会議所は21分野約400の職種を仕事毎に基準条件を定めています。基準の審査は商工会議所が行い認定されるとBeruf(専門職)として仕事に就くことが出来ます。障害者も違いは無く同じ基準です。それ以外の仕事はJob(補助業務)です。仕事内容と待遇は全く違います。視察したソーシャルファームでは専門職として働く障害者が大半でした。専門職として働くことが問題解決である、と悟りました。2014年11月就労移行支援事業所を設立し専門職就労を目指して今日に至っています。事業所名をBerufベルーフとしたのは単刀直入に目的と目標を表す為です。

何を習得するのか?

ベルーフではビジネスと専門技術と心のコントロールを学び、勤怠の安定と能力の専門化に取組みます。待っていても仕事の世話は致しません。自ら仕事を勝ち取るための考え方と方法に取組みます。魚釣りで云うと、釣り方は教えますが魚は与えません。与えられる側から与える側に立つのがベルーフの教育です。ビジネスの習得は新たな価値観に差し替える事が色々あり覚悟が要ります。専門技術は生半可ではなく、手強い理解と地道な修練が続きます。心のコントロールは終生の課題で一過性では片付かず粘る他有りません。これらの鍛錬の場所がベルーフです。

何に向かっているのか?

2023年10月現在そろそろ設立10年です。36人の卒業生がおり、大半が就労を継続しています。専門職が大半です。2019年以降2023年の足掛け4年間離職者はいません。仕事と待遇の選択を妥協せずに行った結果と考えています。ベルーフのIFD活動も功を奏しています。しかし歩みと成果は微力です。微差は大差なり、とは言え忸怩たる思いも持っております。一事業所で年間6人の育成が適正規模です。増やすには他事業所との連携と考えております。専門職就労は日本ではまだ孤立した思想と捉えられております。連帯を求めて孤立を恐れず、は全共闘の名誉あるスローガンですがここに掲げて就労移行支援事業所の連携を広めていきたいと志向しております。