IT系ニュース(2024年7月)
この記事では「データサイエンス系」「Web系」「プログラミング系」それぞれの分野について、最近のニュースや気になったことなどをご紹介します。
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データサイエンス系
最近は生成系AIの進化が急速に進んでいますよね。
特にごく最近の進化として、大きく2点取り上げてみたいと思います。
1. マルチモーダル化
今年の春ぐらいまでの生成系AIは、それぞれのメディア形式に対してリリースされていました。例えばテキスト生成系AI、画像生成系AIなどです。
しかし、2024年5月にOpenAI社が発表した「GPT-4o」では、マルチモーダル化されました。
マルチモーダルとは?
テキスト、画像、動画、音声など、異なる種類のメディアをまとめて扱うAIのことです。
モーダル (modal) は、「様式・形式」の意味で、馴染みのある言葉では「フォーマット」というような意味合いです。
複数(マルチ)の形式に対応しているため「マルチモーダル」と呼ばれています。
マルチモーダル化は、単に複数のメディア形式を扱えるだけではなく、まとめることにより相乗効果が出てきます。
この点については、以下の記事が参考になります。この記事では「解決できる問題の種類も増えるが、例えばアプリケーションの形態も変わってくるだろう」というような予測もしています。
「GPT-4で「マルチモーダル」の威力痛感(日経クロステック)」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00692/031600102
「GPT-4o」は5月にリリースされたばかりですので、今後もさらなる発展が予想されます。
今後どのような展開が予想されるか、次のように予測されている方もいます。
「GPT-4oの現在利用できる機能と今後展開されるもの(note記事)」
https://note.com/peek_at_media_ai/n/n8a8c97fe6778
1年前に現在の状況が予測できなかったように、これから1年後がどのようになっているか予測が難しい状況が続きそうです。
いろいろなニュースや意見に触れることも重要ですね。
2. より自然に近い処理
今年に入ってから、生成系AIが生成するメディアは、より自然に近いものになってきたように感じます。
最近ではファッションブランドの「しまむら」が、自社製品の宣伝用に生成系AIによるAIモデル(瑠菜さん)を起用したニュースは耳にされた方もいるかもしれませんね。
しまむらのAIモデル・瑠菜(20)「かわいすぎる!」と反響!(Yahoo!ニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb2968a3137c8f94b9d9f3325afd2bc2ec3c6f20
またGPT-4oでは、音声生成にも対応していますが、従来のようにただ文章を読み上げるだけではなく、ストーリーのキャラクタになりきって発声できるようになっています。
以下のニュース記事では、実際にGPT-4oとやりとりしている様子もあります。(英語ですが…)
「『GPT-4o』の新たなボイスモードに衝撃走る、異なるキャラクターの声で演技が可能に」(窓の杜)
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/yajiuma/1597515.html
今後は、画像、動画、音声、いずれも本物と区別つかなくなる世界になりそうですね。生成AIによるものか、見分ける技術というのも必要になってくるのかもしれません。
支えているもの
ところで、現在活躍している生成系AIは「Transformer」という技術が基盤になっています。
生成系AIが生成する画像や動画を見ていると、最新の技術というイメージですが、このTransformerを裏で支えているのは数学です。
数学といっても非常に高度な現代数学ではなく、私たちが高校で履修する「線形代数」と「確率・統計」が主役です。
また、生成系AIに限らず、従来からある機械学習によるさまざまな予測なども、結局は数学がベースになっています。
データサイエンティストを目指される方は、どこかで必ず数学に出会いますので、データサイエンスを裏で支えている数学も身につけるように意識していただければと思います。
数学といっても範囲は広いので、データサイエンスに必要な内容がまとめられている統計検定を目指すのもいいのではないかと思います。
統計検定を通して勉強したことは、いつか必ず役に立ちます!
「統計検定®︎準1級は実務で役に立つのか?」(Zenn)
https://zenn.dev/zenkigen_tech/articles/4b1559a5a59e65
Web系
生成系AIの活用
Web系はフロントエンドにしてもバックエンドにしても、その時々でトレンドがあります。特にフロントエンドに利用される技術は半年も経つとトレンドが変わってくるものも少なくありません。
技術そのもののトレンドを追うことの重要性は今後も変わらないと思いますが、最近は生成系AIの技術進歩によって、Web系の開発手法にも目を向ける必要がありそうです。
フロントエンド分野では、今までもChatGPTなどを利用してHTML/CSSを生成することができました。
最近では、OpenAI社のGPT-4oを使って、短いブロンプトでも完成度の高いランディングページを作れるようになっているようです。
「UIUXデザイナーが「GPT4o」を活用してウェブサイトをつくってみた」(CreatorZine)
https://creatorzine.jp/article/detail/5521
プロンプトでは指示をしていないにも関わらず、GPT-4oはレスポンシブ対応もしてたそうですし、実際の実装をする場合の画像ファイルの追加手順なども教えてくれている、とのことです。
Webフロントエンドは、GPT-4oなどの登場により、今後はWebエンジニアも、いかに生成系AIを活用するかが重要になってくるかもしれませんね。
とはいっても、まだまだHTML/CSSによるコーディングも重要な世界です。
特にWebフロントエンドのフレームワークやCSSライブラリも日々進化して、使いやすくなっています。
例えば、次の記事のような動向にも注目したいですね。
プログラミング系
プログラミングの世界では、GitHub CopilotやAWS CodeWhispererなど、コーディングを支援するAIサービスが次々リリースされています。
コーディング支援AI
コーディングに関連するAIだけでも、主要なものでは次のようなサービスがリリースされています。
- GitHub Copilot
- AWS CodeWhisperer
- Google Duet AI for Developers
- GitLab Duo Code Suggestions / Duo Chat
- JetBrains AI Assistant
- SQLAI.ai
- IBM watsonx Code Assistant
多くのサービスは単独で使用されるというより、VSCodeなどの機能拡張として、実際にエディタでコーディングしながら支援を受ける、というユースケースが多いように思います。
現在はこのように支援型が多いですが、自立型コーディングAIもリリースされつつありますね。
「もはやエンジニアは不要になってしまうのか? 自律型コーディングAI「Devin」が登場!」(ThinkIT)
https://thinkit.co.jp/article/22889
プログラミングの世界では、生成系AIにより今後どのようになっていくのか予測しづらいところもありますが、実際に自分でも使ってみながら有用性を確認する、という姿勢がいいのかもしれませんね。
今後
生成系AIにより、今後プログラマは必要なくなる、というような物騒な話もときどきニュースになることがあります。
予測は難しいですが、「プログラマがいなくなる」ということはなく、「プログラマのやることが変わる」のではないかと思っています。
プログラマを目指される方は、プログラミングそのものではなく、より高い視点でソフトウェア開発を把握すると良いと思います。
「プログラミング」という開発行為は、実際のソフトウェア開発全体に占める割合は意外に少ないです。
市場にリリースされるソフトウェアの開発は、要件定義から始まり、基本設計、詳細設計を経てプログラミングが行われます。
またプログラミングのあとは、単体テスト、結合テスト、システムテストと進み、最終的に市場リリースとなります。
最近ではソフトウェア開発手法として「CI/CD」(Continuous Integration・Continuous Delivery/Deployment) 「継続的インテグレーション・継続的デリバリ」が採用されるケースも多くなってきています。
この開発手法により、従来の単体テストや結合テストの考え方、捉え方も見直されているようです。
「ユニットテストってもう言わない! CI/CD時代のテスト分類に最適なテストサイズという考え方」(Zenn)
https://zenn.dev/koduki/articles/e0f8824adbe0e9
このような変化はソフトウェア開発の一面で、ほかにもいろいろな変化が起こっています。
プログラマを目指される方は、プログラミング知識だけではなく、ソフトウェア開発の大きな流れにも目を向けて、新しい考え方や知識を吸収すると、より広い視点から自分の進みたい道が見えてくるのではないかと思います。