ベルーフということば
当事業所の名称であるベルーフは、ドイツ語のBerufという言葉に由来していますが、当事業所ではこのBerufという単語を「専門職」と訳し、みずから顧客を創造し、社会での役立ちを目指すものとして定義づけています。
さてしかし、この単語は本来どのような意味で、どういった語源と背景があるのでしょうか。
一般的な独和辞典には「職業」が一番の意味としてあげられていますが、注目すべきは二番目の「神による召命、天職の賦与」という意味にあります。
もともとこの召命とはキリスト教の聖書からの言葉であり、ギリシア語でklēsis、ラテン語でvocatio、英語ではvocationといい、神から召され特別の使命を与えられることを指しており、いわゆる預言者に与えられた使命や、教会の奉仕職を指していました。
しかし、ドイツの宗教改革者であるマルティン・ルター(1483-1546)は、この召命(羅:vocatio)をドイツ語のBerufという言葉に訳し、聖職者や修道者に限らず、ひとりひとりが神からの使命を受け、世俗のただなかで従事する職業も神から受けた使命であると強調しました。このような文脈において今日でもドイツ語のBerufは「天職」という訳語があたるのでしょう。このような背景と共に、プロテスタントの宗教改革は、近代のキリスト教的な職業観を形成する契機となり、さらには現在の資本主義の源泉となったとも解釈されています。
さて、別の観点からももうひとつ。Berufとは、呼ぶ、叫ぶという動詞であるrufenの名詞であるRufという単語が入っている点もポイントといえます。Rufは叫びや呼び声、そして招聘や評判といった意味ですが、これはドイツ語と同じ語族である英語のCalling(天職)へも派生しています。前述の「神から受けた召命」というのは神からの呼び声というわけですが、これは必ずしも宗教的な文脈に還元されずとも、そして、現代でも感じ取ることができるのではないでしょうか。
自分に与えられた使命を伝える外からの呼び声、そして内面的な使命感を自分自身への呼び声として持ち、生業を作り上げる―このふたつの側面に真摯に向かい合っていくことが、ベルーフで研修を受ける皆様、そしてベルーフ自体の使命なのではないかと自負しております。